IT/ソフトウェア業界でのビジネス職キャリア

IT/ソフトウェア業界でのビジネス職キャリアを考える材料を発信していこうと思います。

万能的な思考力を手に入れる方法〜ユダヤ式考える技術

はじめに

私がはじめてユダヤ人に興味を持ったのは、西洋芸術の世界に足を踏み入れた大学生の時でした。

西洋芸術の世界には、2つの特権階級とも言える人種が存在します。

一つはホモセクシャルな男性、もう一つはユダヤ人です。

 

ユダヤ人の巨匠は様々なジャンルで綺羅星の様に存在します。

音楽(作曲家)・・・シェーン・ベルグメンデルスゾーンマーラー

音楽(演奏家)・・・ホロヴィッツアシュケナージバーンスタインクレンペラー

画家・・・シャガール、フランツ・マルク、モディリアーニ

 

また、ビジネスの世界、特に金融の世界でもユダヤ人は多大な影響力を持っています。

ユダヤ人の迫害され、移動し続けた経緯がこのような驚異的な能力の源泉になっているのだろうな、と感じていました。

 

 石角完爾

 石角完爾さんは、自身もユダヤ教に改宗し(改宗は結構難易度が高いそうです)、ユダヤ人の視点から日本人に提言する内容の書籍を複数出版されています。

 

石角さんは京大法学部を主席で卒業され、ハーバード・ロースクールに留学され、現在はヘルシンキに在住しながら、教育を中心に評論活動をされているそうです。

石角完爾 - Wikipedia

 

ユダヤ式Why思考

石角さんの書籍はよく読むのですが、今回はユダヤ人の物事に対する向き合い方や考え方を、幼少期からどのような経験を経て身につけられていくか、が説明されており、非常に参考になりました。

 

 あらゆることに質問する

本書では、各業界で傑出した成果をユダヤ人が上げる所以をユダヤ人の日々の議論から磨き上げられる「思考力」であるとしています。そして、その議論のきっかけである「質問」の重要性を説いています。

 

ユダヤ教のエッセンス(最も重要な協議)は「質問」することである。ユダヤ人は質問する人、日本人は質問しない人といっても、いいだろう。

 

質問こそが、あらゆる思考の出発点となり、それが物理学の世界や実業界への興味、大きな成功へのつながるのだ。

 

 あらゆることに疑問をもち、質問することー日本人はまずここから始めるべきだろう。

 

 大切なのは、とにかく頭を働かせることである。どんなに些細な疑問でもいい。疑問を抱くことからしか思考は働かないのだ。

 

議論の重要性

質問を基にして発展する議論にこそイノベーションのきっかけがある、と著書は説く。

そして、議論を避けてはいけない。議論を避けることは、思考停止を生み出すからだ。

 

ユダヤには、「舌の先に幸せがある」という格言があるが、これは、よくしゃべり、よく発言し、よく主張することで幸せをたぐり寄せることができるという教えてある。黙っていては、幸せが逃げてしまうということだ。

神に対してでも議論する

議論の相手にタブーもありません。

モーゼは、神に対してでも反論しました。それも、しつこく何回も。

神に対して議論を仕掛けるというのは、やはり面白い人間性です。

日本人なら「お上の言うことだから」というところでしょう。

 

また、議論の俎上には、どんなものでも載せます。タブーや常識、例外はありません。

誰に対して、何に対しても議論をふっかけるのです。

そして、その起点が「疑問を持つ(=質問する)」ことなのです。

 

「なぜ?」という問いかけを忘れたとき、思考は停止する。

 

無理かもしれないと諦めることと、それでも行動を続けることには雲泥の差がある

ユダヤ人はどのような絶望的な状況に置かれても、常に最後の最後まで考え続けます。

「すべて」は想定可能であると考え、あらゆることを想定します。

 

本当にあったかどうかは、誰にもわからない。けれども、「あり得るかもしれない」と考えることで、「どうしたら起こりえるか」と前向きで創造的な思考へと向かうことができる。

自分自身の感情を排して判断する

感情は思考とは別に人の判断に影響を与えるものです。

ユダヤ人は感情を排して、根拠は何なのかを考え続けます。

そして、最小のリスクで最大の成果を得る方法を探します。

 

多少のリスクには目をつぶり、「なんとかなるだろう」と一か八かを狙うのが日本人にありがちな選択だとすれば、徹底的なリサーチに基づく冷静な判断で確実に成果を得ようとするのが、ユダヤ人をはじめとする欧米人のアプローチである。

必要なのは空想することではなく、調査や分析に基づき論理的に思考することである。

 

論理的に考えるとは、言葉の定義を正しくすること

論理的に考えるとは、言葉の定義をどこまでも厳密にし、感情や解釈の入り込む余地を与えない、ということだ。

この考え方は非常に重要で、「成功」や「自由」などの言葉にも自分自身で定義していくことで、思考や目指すものがクリアになると感じた。

 

三次元的に取捨選択する

ユダヤ人は何かを手に入れるためには、リスクなど何かを差し出さなければならない、と考えます。

その際、ユダヤ人も自分にとって何が優先かを考えます。

そして、日本人が取捨選択といえば、「捨てる」、「残す」の2択しか無いのに比べて、ユダヤ人の場合は、「捨てる」、「残すが、今すぐは着手しない」、「今すぐやる」の3種類があります。

 

 「How」ではなく、「Why」を問いかける

Howではなく、Whyを常に問いかける。この姿勢によって、ユダヤ人はイノベーションを起こしています。

これは、Howでは今認識している課題、現状からしか思考ができないのに比較して、Whyで考えると本質的なもの、それは、現状を深く見たもの、資質な視点から見たものが見えてくる可能性があるからではないでしょうか。

本質的な価値に気づくためには、普段から「なぜ?」と問いかける習慣が有効である。

人にモノを売りたいなら、「人はなぜモノを買うのか?」を考えれば良い。すると、必然的に「人間とは何か」という本質にたどり着く。

 別の次元から物事を見る

まずは、様々な苦難に遭遇したユダヤ人が身につけた、考え尽くすことで活路を見いだす姿勢です。

 

どんなに辛く過酷な運命に遭遇しても、絶対絶命の窮地に陥っても、これらの苦難を避けるのではなく、「どうすれば生き延びることができるか」を必死に考えてきた。

これは、特にナチス・ドイツ時代を経験したユダヤ人を見ていると感じるところです。哲学者アドルノの現実から目を反らさず、徹頭徹尾、認識しつくそうとした姿に同じ姿勢を感じます。

 

もし、ノアの方舟が遭難したような大洪水が現代の地球を襲ったらどうなるか。これをネタにしたジョークがある。

日本人は「来世であいましょう」と仏に祈り、ドイツ人は「どうすれば国民すべての墓を効率よく掘ることができるか」を心配し、イタリア人は「墓のデザインをどうしようか」と想い悩む。そしてユダヤ人は、「なんとかして生き延びよう」と方策を考える。

 これはなかなか面白い冗談です。

 

「現在」から自分を解き放つ

様々な角度から思考ができるようにる方法の一つ目は 、時間軸を長くとって物事を考えることです。10年前の自分の悩みを想い出して見ると、本当にびっくりするくらいしょうもないものです。悩み事というのは自然に解決するものなのです。

呪縛や思い込みから自分自身を解放し、無限に広がる可能性を見出すためのひとつの有効な手段が、長期的な視点で物事を見ることなのだ。

そして、ユダヤ人は二次元の視点ではなく、神の視点でものごとを捉えます。

自分から見た視点は1次元の「認識」、自分と他人との関係性の視点で物事を見るのが2次元の「事実」です。そして、神の視点は「真理」を見ることです。

 自分と他人の2者だけでなく、それらを含む世界自体を眺めるのです。

 人間の本質

 ユダヤ人がビジネスで成功する理由を著者は、人間の本質に対する理解であると述べています。

ビジネスは、人間を相手にするものだから、人間に対する理解がモノをいう。人々がなぜそのような行動を取るのか、なぜその商品やサービスにお金を払うのかを考えることの方が、モノを売るためには必要な思考である。

 

テクノロジーはいかに進化しても、社会構造がどんあんい変化しても、人間の本質は変わらない。

 

人間の本質について、「なぜ、そのような行動を取るのか?」を考えることが重要である。

人の心理を探るときは、「別次元からの視点」が特に役に立つ。他人の気持ちを推測するには、相手の視点に立つ必要があるし、自分の真理を客観的に捉えるには、自分を別次元から眺めてみるのが効果的だ。

 

効率的に稼ぐには、頭をフル回転させて知恵を絞らなければならない。

効率的に稼ぐには人の行動や心理を観察し、人の動かざるを得ないしくみを考えなければならない。人を動かすしくみを自分たちでつくり出すのだ。

ユダヤ人が築いてきた金融ビジネスも、ダイヤモンドや金などの鉱物ビジネスも、始まりは「どうすれば人を動かすことができるか?」という発想だったそうだ。

 最後にあとがきより

権力を恐れていいたいこともいえないーそれが場の空気を読むということだ。

そういう社会からは革新的な技術やアイデアは生まれてこない。

場の空気を読むということは停滞するということだ。

場の空気を読むということは多数に盲従するということだ。

場の空気を読むということは何も創造しないということである。

場の空気を読むということはリスクをとらないということである。

 

場とは現状である。しかも自分が置かれた狭い現状なのである。

そんなものを読む人間ばかりの社会が発展しないことは、いうまでもないことだ。

 

定期的に見返すためのメモとして、まとめました。