本田宗一郎=言葉の経営
自伝本は読むべき
最近、経営者、政治家、芸術家などの自伝本をよく読みます。
限られた人生の中で大きな業績を残す人は「何を考え、どのような態度で物事に向き合うのか」、に興味があるからです。
その中で思うのは、やはり本田宗一郎や松下幸之助の様な、戦後の焼け野原から世界規模の会社を作る人間には社会や他人に対する深い哲学や揺るがない深い想いがあるということある。
そして、主に晩年にそれらが言葉となり、それが編纂され書籍となっています。
身の回りに大経営者がいなくても、私達もその片鱗が垣間見れるのです。
「人間の達人 本田宗一郎」
この書籍には、ホンダ創業後の本田宗一郎の言葉がエピソードとともに綴られています。
ホンダと言えば、「ワイガヤ」会議など言葉の力を使ってうまく経営を行った印象のある企業でもあります。
人の心に棲んでみる
このエピソードばかりでなく、宗一郎は他人の心理を読み分ける能力が優れていた。自分をその立場に置いてみる。しかも、「棲む」というのだから、一瞬の話ではなくドッぷりとつかる、のである。
宗一郎が大経営者であるにも、この様な習性を持てたのは幼少期に貧乏で差別された経験があるからである、と筆者は説く。
宗一郎の他人への思いやりの徹底は「気遣い」という次元ではなく、相手の考えていることを「徹底的に考える」という非常に濃いものであったそうだ。
人に好かれたい
「もし企業家として他人とちがうとしたら、人に好かれたいという感情が強いことでしょうね。これが強いから、金だけで企業をやる人とは、過程においてかなりちがうのかもしれません。」
ウォーレン・バフェットもスノー・ボールの中で、人に好かれたい、よく思われたいという欲が人一倍強いと表現されていました。「他人から愛されたい」という願望は大きな事をなす人に重要な要素なのかもしれません。
仕事 本当におもしろいのは 仕事だけ
引退後のホンダ宗一郎がぼそっと語ったと言われる一言である。
創意工夫は苦し紛れの知恵である
「僕が一番スリルを感じるのは何かを企画して、それが失敗した時だね。頭の中が次のアイデアで一杯になるんだ。」
このような姿勢が大経営者の凄みなんでしょう。優れた人は学習力に富む人、危機を乗り越える力が強い人だと思います。
理想を持つ
「卑小で弱く、悪いほうへ傾斜しやすい人間であるからこそ、自分の生き方の中に、目標や理想をもっていたほうがいい。その理想が…、ほんとうの勇気にとって欠かせない考え方であるといいたいのだ。」
この部分で著者は小林秀雄の「モオツァルト」を引用しています。
「強い精神は、容易な事を嫌う」そして、天才について、「制約も障碍もない処で、精神はどうしてその力を試す機会を掴むのか。何処にもこんないがなければ、進んで困難を発明する必要を覚えるだろう」
スピード
「私はスピードによって人生というものは決められると信じている。
われわれには髪さまに与えられた一定の人生しかない。それゆえ、与えられ、限られた間に、自分の要求をどれだけ満たすかということが人生の最大目標であるから、それにはスピードが絶対必要である。」
この発言には、宗一郎がホンダを創業した年齢が42歳ということもあったろう。
肚の底から努力する
宗一郎が終生言い続けた言葉のようで、響きの良い言葉だ。
他の人たちは壁しか見えない場所に、私はドアを見る
インドの田舎に生まれ1代で鉄鋼グループを作り上げた人物OP・ジンダルの言葉の様だ。
まとめのリーダーシップ
著者本田宗一郎のリーダーシップを2つにまとめている
- どんな時でも夢と可能性を追い続ける前を向いたリーダーシップ
- 常に自分についてくる人たちに向けられる優しさと想いやりという後ろを向いたリーダーシップ